老後が怖くない人は、お金がある人でも、倹約が上手な人でもありませんでした。
ある知人のことを思い出します。遺産で生活している、五十代の独身女性です。働かなくても暮らせる。好きなことだけしている。一見、理想の老後に見えます。
でも彼女の口癖は「どうせ世界は近いうちに滅びる」です。
飲食店では少しの注文で半日居座り、洋服は試着だけして買わずに帰る。私にもしょっちゅう連絡が来て、地元の特産品を送ってほしいと言ってくる。
お金はある。時間もある。それでも、何かを埋めようとし続けている。
老後の怖さの本質は、お金だけではないと、彼女を見ていて気づきました。
満たされない内側を抱えたまま時間だけが増えると、人はその空白を外側で埋めようとします。世界が滅びると言いながら、それでも誰かのそばにいたくて、何かを求め続ける。それは孤独と退屈の裏返しです。
だから私が老後に本当に必要だと思うのは、倹約術でも資産運用でもなく、朝を迎えるのが楽しみになることです。
これはきれいごとではありません。
朝が楽しみになるためには、自分が何に喜びを感じるのか、何が自分を消耗させているのか、どんな人といると満たされるのか、それを知っておく必要があります。そのための時間が、内観です。
特別な場所でなくていいです。自宅のベランダで十分です。コーヒーを一杯持って、ただ空を見る。今日の自分の気分を言葉にしてみる。それだけで、内側にアクセスする練習になります。
もし時間とお金に少し余裕があるなら、2泊3日で静かな山か海のホテルに一人で行くのもいいです。スマホを置いて、予定を入れずに、ただ自分と過ごす時間を作る。それだけで、自分の輪郭が少し見えてきます。
一人では難しいと感じるなら、内面にアクセスすることを手伝ってくれるカウンセラーを頼ることも選択肢の一つです。
老後が怖くない人は、外側が整っている人ではなく、内側と対話できている人だと思います。
お金は大切です。でもそれだけでは、空白は埋まりません。
次回は、自宅のベランダでできる内観の具体的な方法を書きます。

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