第2章 間違った支援が、依存をつくる

心のケア

──「優しさ」が人を壊すとき


1. 「助けているつもり」が、回復を止めてしまうことがある

「かわいそうだから」
「責めたら余計に動けなくなるから」
「本人もしんどそうだし」

こうした気持ちから、
✔ 起こしてあげる
✔ 代わりに手続きをする
✔ 失敗を先回りして防ぐ
✔ お金だけは渡し続ける

──そんな“支援”を続けてしまうケースは少なくありません。

しかし、それが長期化するとどうなるでしょうか。

本人は
「自分はやらなくていい」
「誰かが何とかしてくれる」
という学習をしてしまいます。

これは回復の支援ではなく、
依存を固定化する関わりす。


2. 怒鳴る・突き放すだけでは、何も変わらない

一方で、真逆の対応も問題になります。

✔ 怒鳴る
✔ 恥をかかせる
✔ 「甘えるな」「自立しろ」と突き放す(影では甘やかす)

脳機能に困難を抱えている人にとって、
強い叱責や恐怖は「やる気」にはつながりません。

むしろ、
・萎縮
・回避
・嘘
・体調不良の訴え

といった防衛反応を強めることがあります。

結果として
「余計に動かない」
「説明せず嘘で逃げる」
という悪循環に陥ります。


3. よくある「やってはいけない支援」の典型例

ここで、実際によく見られる“間違った支援”を整理します。

❌ ① すべてを管理してしまう

スケジュール、家事、通院、対人対応まで全部代行する。

本人は「考える・選ぶ・責任を取る」経験を失います。

❌ ② 薬だけに頼る

「薬を飲んでいるから大丈夫」と行動面を見なくなる。

→ 薬は補助であって、生活スキルを育てるものではありません。

❌ ③ 同情だけで線引きをしない

「かわいそう」が先立ち、約束やルールを曖昧にする。

→ 本人は“努力しなくても許される”と学習します。

❌ ④ 問題行動の後始末をする

遅刻・欠勤・トラブルのたびに周囲が謝罪・調整。

→ 行動と結果が結びつかず、改善が起きません。


4. 本当に必要なのは「一緒に転ばない支援」

鈴木大介さんの著作では、
回復の鍵として環境調整と関わり方が繰り返し語られています。

重要なのは、

✔ 全部やらない
✔ でも見放さない
✔ 失敗の結果は本人が引き受ける

このバランスです。

支援とは、
「転ばないように抱きかかえること」ではありません。

転ぶ自由を奪わず、
でも一緒に倒れないこと。

これが、回復に向かう支援の前提になります。


5. 「支援」と「甘やかし」を分ける基準

迷ったときは、次の問いを自分に投げてみてください。

・これは本人の力を育てているか?
・私がいなくなっても、この行動は続くか?
・一時的に楽になるだけではないか?

もし
「何も変わらない」
と感じたら、その関わりは支援ではない可能性があります。


6. 第3章へ──見極めと、回復につながる関わり方

第1章では
「怠けに見える行動の背景」を見ました。

第2章では
「間違った支援が依存をつくる構造」を整理しました。

次の第3章では、
✔ 本当に必要な検査
✔ 正しい見極め方
✔ 回復につながる現実的な支援

について、
**「支援する側も壊れないための視点」**を含めて詳しく書いていきます。

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